| 2008年ブラジリアン柔術アジア選手権大会 11月29、30日東京都足立区東京武道館大部道場 レポート@高島 学 写真ギャラリーはこちら>>> 参加人数、述べ1200人。日本のブラジリアン柔術の歴史のなかで、もっとも多いコンペティティターを集めたアジア選手権。2年に一度のビッグ・トーナメントは、英国、フィンランド、オーストラリア、韓国、フィリピン、タイ、米国、ブラジルなどから遠征してくる選手も多く、その名の通り、国際色豊な大会となった。 そんななかアダルト黒帯ではアジア一の称号を目指し、日本のトップ柔術家が集まり、興味深い対戦が連続した。 【1日目】 大会初日のハイライトは、黒帯無差別級トーナメント。 デニス・ピントと対戦した高谷聡は、背負い投げでポイントを先取した。その後、ピントがリバーサルを2度決め、膠着ポイントと合わせが6−2で勝利した一戦でオープンクラスは幕を開けた。 優勝候補筆頭と見られたウルトラヘビー級のカリーム・バイロンは、エドゥアウド・カバウカンチ・ジュニオルと対戦し、得意のハーフからのアームロックを極めることはできなかったが、パスなどアドバンを稼ぎ勝利した。 グアムから参加した米国BJJ界の実力者マイク・ファウラーは、中山徹を相手にスイープ、パスからアームロックで一本勝ち。 続いて登場したマルキーニョス・ソウザは、ピントを巴投げで投げると、そのままバックに回り送り襟絞めを極め、準決勝はファウラー×入来晃久、バイロン×マルキーニョスの2試合で行われることが決定した。 一回戦では鋭い投げから腕十字を決めた入来は、引き込んでスイープを仕掛けるファウラーを相手に、パスを仕掛けるなど積極的に動く。しかし、ファウラーはハーフからリバーサルに成功し、マウントを奪取。その後、入来がパスを奪う場面も見られたが、ファウラーが11−3で勝利した。 もう一つの準決勝は、マルキーニョスがいきなり巨漢のバイロンからテイクダウンを奪い、パスからバックへ回り腕十字へ。腹ばいになったバイロンがタップし、マルキーニョスが圧倒的な強さをみせつけ決勝進出を果たした。 2試合連続で短時間で一本勝ちを収めたマルキーニョスと、かなりスタミナをロスした様子が窺えたファウラーの間で行われた決勝戦。勢いそのままマルキーニョスは、ファウラーが引き込んできたところに、パスで3Pを奪取する。その後、ファウラーも二度にわたりスイープを決め4Pを獲得するが、その間にもマルキーニョスはテイクダウン、パスを3度も決め14−4とポイントで圧倒する。 汗を流し、なすすべなくパスを奪われ続けたファウラーが、残り時間1分を切り、息も絶え絶えの様子でクローズドガードを取る。と、ここでマルキーニョスは油断をしたのか、一瞬にしてファウラーがガードから腕十字へ。ヒザ立ち状態から、立ち上がって左腕を抜こうとしたマルキーニョスだったが、そのまま絞められると力なくタップ。ファウラーが大逆転の無差別級優勝を決めた。 「2試合目から急に疲れてしまって――」というファウラーは、ここでゴミ捨て場に急行し、嘔吐。肉体的にギリギリに追い込まれながら、精神力でアジアナンバーワンの座を手にした。 【2日目】 宍戸勇が前回のアジアチコ以来、2年ぶりにトーナメント出場を果たしたプルーマ級。その宍戸は初戦で(澤田真琴)と対戦すると、ハーフガードからじっくり展開を作り、一気にスイープからバックグラブを奪取。最後は絞めで一本勝ちを収めた。 続いて準決勝でヒカルド・マツモトと対戦した宍戸は、いきなり三角絞めを仕掛けるように引き込んできたマツモトのアンクル狙いを防ぐと、5分すぎにスイープからバックグラブを奪取。最後は片手で襟を持ち、その手で絞めを極めて一本となった。 プルーマ級、もう一方の山は藤田善弘と(生田誠)の準決勝となり、足関節をからめたスイープの攻防で2−2のイーブンの展開へ。アドバンテージでリードした(生田)が、逃げきるかと思った終盤、藤田が三角絞めへ。生田が頭をまたぎ、これを防ごうとしたところで、腕を決めた藤田の一本勝ちとなった。 決勝戦は、引き込みからガードを取った宍戸。その仕掛けを正座状態で、防御に徹する藤田という展開が、試合終了間際まで続く。5分を過ぎたころから仕掛けを見せた宍戸だが、ヒザをあげることもない藤田。 残り時間1分を過ぎたところで、その藤田を宍戸の三角絞めが捉え、渾身の力を込めると、ここで藤田がタップ。 宍戸がプルーマ級優勝を決めた。 「3試合あったので、じっくり攻めていたのですが、最後の三角はアドバンが入るという計算もあり、思い切り仕掛けました。年齢も年齢ですから、後進の指導に力を入れるとともに、自分もまた試合に挑みたいと思います」と優勝者は大会を振り返った。 8人の黒帯が揃ったペナ級を制したのは、伏兵・中山巧だった。一回戦で優勝候補の小野瀬達也と対戦した中山は、いきなり引き込みからスリープに成功する。「小野瀬選手は、掴んだと同時に引き込んで攻めてくると思ったので、先手が取れてよかったです。あれで流れを掴むことができました」という中山は、その後もスイープを決めると、最後は腕十字で小野瀬を破る金星を挙げた。 中山は準決勝で、早川(正明)を破った丹治章近と対戦し足関節の攻防となるが、「ああいうのは総合をやっている僕には、有利な展開です」と難なくクリアし、そこからポジションを返すトライをトーナメント中に、何度も見せた。 この試合でも丹治のヒジ関節を極めて勝利した中山は決勝で、本命マウリシオ・ソウザをリバーサルで下した石川祐樹と対戦。 引きこんだ石川が、下から揺さぶりを見せると、首を固めてトップをキープし、パスガードを狙う中山。まずはパスのアドバンテージを奪うと、石川の立ち上がり際にバックを窺い寝技に戻ると、中山は絞めを狙った。石川は胸を合わせるが、右腕がマットについており、中山はすかさずラバーガードからオモプラッタへ。この動きを察知した石川が、腕を抜いて立ち上がるが、その後のグラウンドの展開でスイープからパスを許してしまう。 ポイント8−2となり、さらにバックを奪った中山は最後に「高校時代からの得意技」という方羽絞めを決め、3試合連続の一本勝ちで、アジアを制した。 大会10日前に米国のMMAで敗れたばかりの中山は、「ムンジアルでの失敗(計量失格)というのが頭から離れなかったので、アジア、ヨーロッパ、パンナムと続けて出て、ムンジアルに挑戦したい」という。MMAも継続して戦うため、そのスケジュールも関係してくるが、柔術家・中山巧もひじょうに面白い存在になってきた。 前日のオープンの決勝で腕十字を極められたマルキーニョス・ソウザが欠場となったメジオ級。杉江大輔が、そのマルキーニョスを破ったファウラーをも寄せ付けない強さを見せつけ、優勝を手にした。 初戦でマーシオ・カタヤマと対戦した杉江は、開始早々に引き込みからスイープ。サイドをとると、一気にヒジ関節を極め決勝進出。 戦わずしてマルキーニョスに勝利した杉江は、中山徹、高谷聡を下したマイク・ファウラーとの対戦へ。 引きこんだファウラーをスイープし抑えようとした杉江だが、ここでファウラーがスイープを反対に仕掛けてくる。ここでバックに回った杉江、一瞬にしてファウラーの襟を掴むと、送り襟絞めでタップを奪った。 「マルキーニョスはもう、4年も前の試合で僕に勝って、それで日本は弱いみたいなことをいうけど、結局、勝てないと思ったから出てこなかった。ファウラーとは、もう何回目?みたいな感じですが、マルキーニョスに勝った彼にこうやって勝てたんで、もうマルキーニョスはいいです」とコメントを残す。アジアを圧倒的な強さで制した杉江、その視線は、既にムンジアルに向かっている。 2名、もしくは3名参加だったレーヴィ、スペルぺサード、女子茶・黒ペナ級はそれぞれ、柿沢剛之、カリーム・バイロン、塩田さやかが優勝した。 |