>>>写真ギャラリーはこちら

この「関東選手権」はBJJFJが昨年からスタートさせた地方選手権大会の首都圏大会という位置づけの大会だ。
今大会のような地方選手権は関東、関西、中部、北海道、東北、四国、九州と日本全国7ヶ所で開催されている。

BJJFJはこのような地方選手権大会を定期開催して地方にも首都圏と同レベルの質の高い大会を提供しており、
その地味ながらも堅実な柔術普及の努力を惜しまない。

柔術人口の増加には大会開催は不可欠だが、地方にはまだ首都圏ほどの大会数は多くないのが現状だ。
だがBJJFJは地方大会の開催もぞんざいにはせずに定期開催してきており、その成果は確実に結実してきている。
この関東選手権にもその結果は如実に現れてきており、全日本大会に準ずる大会に相応しい熱戦が繰り広げられた。

大会開催にご協力いただいた国士舘大学教授・野木先生
大会開催宣言する中井会長

まず注目だったのはアダルト黒帯アブソルート級。

ここに関西柔術界で名を馳せた高専柔道の雄、入来晃久選手がエントリーしてきたのだ。
入来選手は今春から関東に移り住んできており、草柳和宏率いるK'z FACTORYで練習しているという。

入来選手に対するは中山徹選手(トラーフォース柔術アカデミー)に広瀬貴行選手(パラエストラ葛西)の2選手。
中山選手はは今春、五反田駅前に自身が主宰するアカデミーをオープンさせてからの初試合だけに気合が入る。

当初、メジオ級にエントリーしていたが入来選手がペサード級にエントリーすると知るやそれを追うようにして階級を上げて挑んでいった。
まず入来選手と戦ったのは中山選手、ペサード級のワンマッチ決勝戦だ。

黒ペサード決勝戦 入来晃久(K'z FACTORY)vs中山徹(トライフォース柔術アカデミー)

試合開始してすぐに素早いテイクダウンを決めたが、巴投げのようにスイープされてそのままマウントも
許してしまう苦しい展開。

そしてマウントからハーフに戻ったところで腕絡みで入来選手が一本勝ち、ペサード級を制した。

入来選手が腕絡みで一本勝ちしてペサード級優勝

続いてアブソルート級の1回戦、入来選手vs広瀬選手の対戦も圧倒的な試合展開に。

入来選手のテイクダウンを警戒した広瀬選手は引き込んで様子を伺う。
が、そのガードをやや強引ながらも力強くパスガードしにいく入来選手は、パスを成功させたかさせないか
微妙なタイミングからの腕十字一閃。それがズバリと極まり、広瀬選手はあえなくタップアウト。

試合時間、2"52'で快勝して決勝戦進出を決めた。

黒アブソ1回戦 入来晃久(K'z FACTORY)vs広瀬貴行(パラエストラ葛西)
入来選手がやや強引に腕十字を極めて決勝戦進出

アブソルート決勝戦の相手は広瀬選手との消耗戦を制して勝ちあがってきた中山選手、本日2度目の対戦だ。

今回は引き込んだ中山選手だったが入来選手の勢いは止まらない。
あっさりとパスガードすると次々にポジションを奪っていき、フィニッシュまで一気に攻め込む。
最後はマウントからの十字絞めで、それを仕掛けるもポジションを返されたがそのまま絞め続けてタップを奪った。

黒アブソ2回戦は入来選手の快進撃の影に隠れてしまったがお互いの意地がぶつかりあった好勝負。
中山選手がアドバンテージ差の接戦を制した。
黒アブソ決勝戦は中山選手と再び対戦もまたも一本で降してペサード級に続きアブソも優勝して2階級制覇達成!

これで3試合全部を一本で極めて階級別と無差別の2冠を達成した。

試合後には来年開催されるADCC出場も睨み、ノーギにも取り組んでいく意向を明かした入来選手。
そちらも楽しみだ。


茶帯で存在感を示したのは丹裕選手(トラーフォース柔術アカデミー)だ。

丹選手は階級別は1人エントリーで優勝認定だったが、アブソでは2試合を戦いこれに優勝。
その試合内容が素晴らしかった。

まず初戦はベテラン選手の稲野岳選手(Rio Tokyo柔術クラブ)と対戦、稲野選手相手に一方的に攻め続け、
一本勝ちこそできなかったが大差の判定勝ちをしてみせた。

茶アブソで素晴らしい試合を展開した丹裕選手(トライフォース柔術アカデミー)

決勝戦は軽量級のテクニシャンとして知られる北村潔選手(ノヴァウニオンジャパン)と対戦も北村選手をスピードでも
上回るアグレッシヴさで圧倒し、バックに回り込んだかと思った瞬間に送り襟絞めを極めた丹選手、そ磐石の強さは
特筆に価するだろう。

丹選手は今後もこの茶帯で充分な経験を積んで黒帯になる準備段階としてしっかりと段階を踏んでいってもらいたい。

決勝戦はテクニシャンぶりを見せバックから送り襟絞めで一本勝ちで優勝!

茶レーヴィ優勝は金子竜也選手(パラエストラ東京)。柔道ベースのパワフルな立ち技が持ち味の選手だ。

紫メジオは磯野元選手(和術慧舟會)が優勝。磯野選手は今夏のムンジアル遠征後から国内大会にも積極的に出場し、着実に成果を残している。

シニア1白ペナには珍しい選手が出場。この佐藤亜良太(あらた)選手(修斗ジムroots)はあの佐藤ルミナ選手の実兄で2試合を戦い優勝を果たす。

団体優勝はトライフォース柔術アカデミー。
準優勝、GRABAKA柔術クラブ、3位はパラエストラ吉祥寺。
「団体優勝は価値あること」と早川トライフォース総代表は笑顔がこぼれる。

また今大会は関東選手権大会と同時にノーギ関東オープンが開催された。

ここにはノーギの常連選手、若林次郎選手(パラエストラ東京)がエントリー。

ノーギに出場した若林次郎選手(パラエストラ東京)は1回戦で一本負けの波乱が。

その実力から今大会でも優勝候補筆頭と目されていたが、なんと1回戦でアンクルホールドによる一本負けを
喫して姿を消すというアップセット。

その波乱を引き起こした中塚靖人(グレイシーバッハ東京)が決勝戦でも同じくアンクルホールドで一本勝利で優勝を果たした。
このアダルト・エキスパート・ペナ級の決勝戦はノーギのニュースター誕生の瞬間だったといっていいだろう。

若林選手を降した中塚靖人選手(グレイシーバッハ東京)はアダルト・エキスパート・ペナ級で優勝。ニュースター誕生か?!


関東選手権黒帯ペサード級&アブソリュート級2冠王者・入来晃久インタビュー

──まず最初に大会に出ようと思ったきっかけから教えて下さい。

入来:アジア選手権を見据えてプランを立てたときに、日程の都合で10月の全日本は出場できるか微妙だったので、関東選手権は出場しておきたいと思い、出場しました。

あと、ここ2年間はあまり練習できてなかったのですが、ようやく練習環境がある程度整ってきたので出場できました。


──では今回の試合の感想を教えて下さい。ますはペサード級決勝戦の中山徹選手(トライフォース柔術アカデミー)の試合からお願いします。

入来:警戒はしていたのですが、開始早々うまくテイクダウンされてしまったのはびっくりしました。本当にうまかったですね。

でもそれで冷静になれたと思います。

最後は七帝でやっていた時の基本にかえる腕がらみを取りました。

基本にかえるというのは今大会のテーマにしていました。


──次はアブソルート1回戦、広瀬貴行選手(パラエストラ葛西)との対戦でした。

入来:広瀬選手は何度か試合を見たことがあり、長い手足でコントロールするのがうまいと思ったので、足を利かされないように注意しました。

外側から足をさばいてのパスは警戒されていたので、正面から割っていきました。

最後は練習でも研究していた形から腕十字を極めることができました。


──最後はアブソルート決勝戦でまた中山選手との対戦になりました。

入来:タックル来たところを潰そうと思っていたのですが、うまくいきませんでした。

サイドポジションからチャンスで思い切って極めにいけそうなところでまだ自信を持っていけなかったところがあるので、そこは練習不足だったと感じました。

マウントからの極めは今まであまりやっていなかったので練習で研究していたところでした。


──今大会の感想を教えて下さい。出場されてみてどうでしたか?

入来:僕よりも軽い階級から無差別級にも出場して頂いた中山さん、広瀬さんと試合ができて嬉しく思います。

他にもいろいろな選手と試合をしてみたいですね。

久しぶりの試合とはいえアジアや世界で勝つためには絶対に負けられない、いい内容で勝つべき試合だと思っていたので、普段練習していることを活かしてオール一本勝ちできてよかったです。

去年結婚して今年6月に娘が生まれてから、柔道、グラップリング、柔術と試合に復帰しましたが、今まで全勝できているので、この調子で頑張りたいと思います。

僕の場合は一つ試合が終わってから次の試合までが一時間ずつくらいあったので、ゆっくりと身体を休めてリセットしてから次の試合に臨めたのでよかったです。

K'zの選手や応援に来てくれた後輩や友人の応援も心強かったです。

関西よりも紫・茶帯の試合が多く、盛り上がっているのがいいですね。

関東以外の地方でも紫・茶・黒のトーナメントがもっと組めるようになるといいのですが。


──入来選手は長く関西で活躍されていました。現在は関東在住とのことですが、なぜでしょうか?

入来:大阪大学大学院を修了した後、東海大学医学部に学士編入学で2年生に編入しました。

現在は医師を目指して勉強しています。


──東京での生活、練習はどうでしょうか?

入来:練習の中心は東海大学医学部柔道部です。

昨年11月の関東医科学生柔道大会、今年僕も出場した8月の東医体(東日本医科学生体育大会)と全医体(全日本〜)の3大会連続で柔道団体優勝している強豪で、運良くいい練習仲間に恵まれました。

あとはK'z factoryさんでの練習と、週一回大学で仲間を集めて柔術を教えながら練習もしています。

夏休みには関西に帰り、阪大、京大、吹田柔術などで練習しました。

大学は朝から夕方までずっと授業があり、思ったよりも大変です。

9月からは解剖も始まり、授業が延長することも多いので、練習時間の確保に苦慮しましたが、友人や後輩の助けもあり、自主トレでなんとか調整できました。


──関東と関西では柔術の違いはありますか?

入来:選手一人一人の技術とか、道場の雰囲気とかでは大きな違いはないように思います。

東京はまだよくわからないですが、関西のいい点は道場間の交流が盛んなところで、逆にあまりよくない点は試合でいつも同じ面子になってしまうなど人数が少ないこと、大きい大会では遠征になるため出場しにくいなどですね。

関西で大きい大会をやっても東京から参加する選手はそれほど多くないですしね。

東京はいくつも支部を持つ道場や、指導者の数では東京との差は歴然で、選手も多く、いろいろな人と試合や練習ができるというのが恵まれていると思います。

経験や自信といった点では違いが出るかな、とは思いますが、埋められない差ではないと思います。

関西にも優秀な指導者や強い選手は多くいるので、柔術をやる環境がまだ恵まれている方だと思います。

関西でやっていたときに感じた、「関西」というまとまりで一緒に強くなろうというような風潮はよかったです。

今でも関西の人たちに助けられることは多いです。

もちろん東京の人にもだいぶお世話になっています。


──では最後にこれからの試合の予定、目標などを教えて下さい。

入来:まずはアジア選手権を目標に練習していきます。

その後は来年はアブダビもあるので、それに向けてNO-GIも練習していきたいと思っています。

海外の大会も機会があれば出ようと思っています。

【写真&レポート 橋本欽也】